リン :: キャラクターストーリー

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鏡を見ながら髪を整えているお姉ちゃんは、眩しいほど美しかった。
お姉ちゃんはかんざしを差しながら忙しく動かしていた手を止め、私に聞いた。

「どう?」
「うん、お姉ちゃんが世界で1番きれい!」

お姉ちゃんは私に微笑みかけた。お姉ちゃんの白い肌が朝の日差しに照らされ、輝いていた。

小さい頃から身体が弱かった私は、あまり長く生きられないと言われていた。
それを聞いたお母さんは私に槍術を習いに行かせた。
それ以来、私は身体も丈夫になり、俗に言うやんちゃ娘になった。
私がこうなってしまったのは自分のせいだとため息をつきながらお母さんはよく言っていた。

お姉ちゃんはよく、私の槍術の練習を見に来てくれた。
私が教わっていた槍術の先生は当時騎兵団長だった人で、先生とは言ったものの
お姉ちゃんより1~2歳上の、まだ若い青年だった。

私は、お姉ちゃんが先生を見つめる嬉しそうな顔が好きだった。先生がお姉ちゃんに向ける笑顔も好きだった。
二人は本当にお似合いだった。

だから私は、2人が結ばれることを願っていた。
そして、きっとそうなると信じていた。

結婚する日を迎えたお姉ちゃんは、
涙が枯れるほど何度も泣いていた。

「お姉ちゃん、このまま逃げちゃおうよ!」

それを聞いたお姉ちゃんは力なく首を横に振った。

「…時には、仕方ないこともあるのよ。」

お姉ちゃんが嫁いだ先は名ばかりのこの王国とは違って、
何十倍も広い領土と
何十倍も強い軍事力を持っているそうだった。

それでなのか…。
花婿は私より二回りも三回りも年上だった。

絹の礼服を身にまとい、すべての準備を終えたお姉ちゃんは
発つ前に私に向かって微笑んでくれた。

どうして笑っているの?お姉ちゃん。
どうして…。

お姉ちゃんがこの国に戻って来たのは、それから数年が経ってからだった。
肺病にかかって戻ってきたお姉ちゃんの頬はこけていた。

その数日後…お姉ちゃんは息を引き取った…。

最後までお姉ちゃんの手を握ってくれていた槍術の先生は、お姉ちゃんのお葬式には来なかった。
その日、先生を見かけた人たちの話によると、彼は城の裏にある丘に突っ立っていつまでも東の方を見つめていたそうだ。

そしてその日の夜、先生は姿を消した。

使者が来る前から噂話は広まった。

ある人は許しを請えば大丈夫だと、またある人は戦争が起きるかもしれないと言った。
若い槍騎兵一人が起こしたことだから、彼さえ処刑すれば大丈夫だとも言った。
また貢物を捧げなければならないという噂も広まった。

多くの噂が飛び交ったが、お母さんは何も言わなかった。
後日、東から使者が来るまで。

お母さんと向かい合った使者は、
顔と同じく陰湿な声で延々と話し続けた。

色んな話が飛び交った。

その場に同席できなかった私は話の詳細までは知ることはできなかったが、
時々壁の向こうから聞こえる声は、
単独行動とはいえ、この国の騎兵団長が我が王の暗殺を企てたのは、明らかな反逆行為だと言った。
長く生きられない、病弱な娘を嫁がせた責任を取れという声だった。
しかし、心の広い王が、違う娘を嫁がせるなら特別に許してやるという話もあった。

さもないと恐ろしいことが起きると…。

その日、お母さんは私たちを残して亡くなったお父さんのことが憎いと初めて弱音をこぼした。

黒雲が垂れ込めて今にも雨が降りそうな日だった。
その日の夜、ナイフを握りしめたお母さんが私の部屋に入ってきた。

お母さんによって切られた私の髪の毛が床に落ちた瞬間、

「この国の姫だった私の娘は、今ここで死んだのよ。
みんながここから避難する時、一緒にここを出なさい。」

お母さんはお別れの言葉もなく、そう言って部屋を出た。

しかし、部屋を出る時に言ったお母さんの言葉は覚えている。

「槍術を習わせておいて…よかった。」

その後、お母さんは城の中にいた人たちを避難させた。

王国の最後の民たちを…。

短くなった髪を触りながら、私は彼らと一緒に城を出た。
東から攻めてきた兵士たちの喚声が遠くから聞こえてきた…。

短くなった髪が、また元の長さに戻った頃、私は覚悟した。

強くならなければ。
そして、人たちを集めなければならない。

私の軍隊を取り戻すために。
私の王国を取り戻すために。

私の名前はリン。
失われた王国、柔花国(じゅうかこく)の姫だ。

パチパチと焚き火の音がする。

焚き火に乾いた薪が燃えて火花が散った。
男は横に集めておいた木の枝を焚き火に投げながら尋ねた。

「君みたいなチビがなぜこんなところにいるんだ?」
「おじさんこそ、何でここにいるの?」
「おじさんだと?僕はまだ二十歳なんだよ。お兄ちゃんって呼びなさい。」
「ふん、私もチビじゃないけど?」
「生意気なチビだな!」
「チビじゃないってば!」
「はいはい。では、お嬢さん。
何で君みたいなお嬢さんが、魔族がうじゃうじゃいるこんな場所に一人でいるんだ?
ここは君みたいなチビが…それに女の子がいられるような場所じゃないよ。」
「ふん、人の話が聞きたいならまず自分のことを話すのが礼儀っていうものじゃないの?」
「面白いチビだな!」
「チビじゃないってば、もう!」
「ハハッ、わかったわかった。う~ん…僕はね、王国騎士団に入ろうと思って旅をしてるんだよ。”
「…王国騎士団?」
「うん。」
…じゃあ、ロチェストに行けばいいんじゃないの?」
「そりゃ行ったさ。でも、僕みたいな中途半端な奴が入れるところじゃなかった。」
「…で?」
「それで調べたら、コレンにカルブラム傭兵団というところがあるみたいなんだ。
傭兵団で功を積めばロチェストに行けるらしいから…そこに行こうと思ってな。」
「…コレンか…。」
「さて、僕の話はこれくらいにして…次は君の番だぞ。」
「…私は強い人を探しているの。」
「強い人?なぜ?」
「取り戻したいものがあって…ね。」
「そう?じゃあ、僕はどうだ?こう見えても僕もそれなりに強いぞ。」

男の言葉にリンはぷすっと笑って席をはたいて立ち上がった。

「…私、もう行くね。」
「え?ああ、うん。気をつけろよ。」
「ありがとう、お兄ちゃん。」
「ハハハッ、ありがとうな。」

「そうだ。」

荷物をまとめて歩き出した少女は立ち止まって男に聞いた。

「私の名前はリンって言うの。お兄ちゃんの名前は?」
「リン?それが君の名前なんだね。僕はリシタ。」
「…それじゃ、リシタお兄ちゃん、またね。お兄ちゃんが本当に強いなら、
きっとまたどこかで会えるはずだよね?」
「ハハハ、そうだな。また会おう。」

リシタは笑いながら、リンに手を振った。

バサバサッ。

夜が明け始めた森の中に、朝を迎えた鳥たちの羽ばたく音が響いた。

マビノギ英雄伝公式サイト

「リン キャラクターストーリー」より

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